初めに
STARSCAPEを立ち上げてから、気がつけば一年半が経ちました。
きっかけは、ある日の山下朋美先生(現在はSTARSCAPEの顧問)との何気ない会話でした。「知能検査を受けるクライエントのほとんどが、点数だけを見て自分を責めたり、不安になったりしてしまうんです。検査結果からは強みもわかるのに。」
そんな小さな嘆きから始まりました。
日本では心理検査というと、「心理的な問題を抱えた人が受けるもの」「支援や配慮を受けるための書類」として使われることが多いように思います。
けれど、私たちは思いました。それだけではもったいないのではないか、と。
学生でも社会人でも、誰もが「自分の力を正しく知り、活かす」ことができれば、もっと生きやすくなるはずだと。
そうして、同じ想いを持つ三人が集まり、STARSCAPEが生まれました。私たちは「心理検査やカウンセリングを“問題を抱えた人のためだけのもの”にしない」という思いのもと、“自分を知るための場”をつくりたかったのです。自分を知ることは、働くことや学ぶことはもちろん、人と関わる上でその真価を発揮する、大切な「発見」です。
STARSCAPEという名前に込めた想い
名前を決めるときには随分悩みましたが、最終的にたどり着いたのが「STARSCAPE・スタースケープ」でした。
夜空に浮かぶ星々。
それは、一人ひとりの内面を映す鏡のようなもの。その人の強みや魅力が星となり、それらがつながることで、誰にも真似できない「星座」が形づくられる。
人間とは、そんなふうに複雑で、美しく、理解しがたい存在です。
この一年半、私たちはその想いを胸に、一人でも多くの人が自分の星を見つけられるように取り組んできました。
そしてこれからも、その意味をさらに深めながら歩みを続けていきます。
STARSCAPEが見てきた数々の星座
STARSCAPEを訪れる方の中には、「自分にはどんな星があるのか分からない」と戸惑う方もいれば、「自分の空は真っ暗だ」と感じている方もいます。まわりの人から褒められても、それを素直に受け取れない。そんな方も少なくありません。
一方で、自分の星にはうすうす気づいているけれど、どうつなげていけばいいのか分からないという方もいます。
私たちの役割は、まさにその星々を結び、「あなたの物語」を形づくる星座を見つけるお手伝いをすることなのだと感じています。
この一年半で実感した、星の輝きを知る大切さ
私たちは多くの方の人生に触れる中で、改めて「理解することの大切さ」を実感しました。現代ではインターネットに情報が溢れ、誰でも簡単に診断テストやチェックリストにアクセスできます。
けれども、人を本当に理解するには、時間と専門的な知識、そして「その人を知りたい」という根気強い姿勢が必要です。
STARSCAPEでは、結果を“伝える”だけではなく、その結果を“使えるもの”として持ち帰ってもらうために、丁寧な分析と説明を大切にしています。そのために、私自身も常に学び続け、より良く理解する方法を探しています。
時には、検査の結果を見て落ち込む方もいらっしゃいます。「私(うちの子)には星なんてないんですね」と。けれど、私はそうは思いません。
「Comparison is the thief of joy(比較は喜びを奪う)」という言葉があります。他人との比較ではなく、自分の中の強みと弱み、その“差”こそが、あなた自身の星なのです。
そしてその星を少しずつ輝かせていくことが、私たちの仕事です。
また、多くの方が最初の一歩を踏み出すことにためらいを感じます。「パンドラの箱を開けるようで怖い」と。
けれども、自分を知るということは、その箱を開ける勇気を持つことでもあります。
私たちは、その瞬間に立ち会い、共に歩む存在でありたいと思っています。あなたが自分自身の物語の主人公として、その箱を開けるとき、どうか安心してください。あなたは一人ではありません。
いま見えている風景
近年、日本でも少しずつメンタルヘルスへの意識が高まっています。
けれど、心理検査やカウンセリングに対する抵抗感やそういったサービスは「特別な人だけが受けるもの」という誤解は、まだ残っています。
私たちは、そうした壁を少しずつ取り除きたいと思っています。
だからこそ、STARSCAPEのスローガンは「人生に、少しの心理学を。」
心理学を、もっと身近に。
教育や仕事の場だけでなく、人との関わり方や自分の考え方にも。誰もが自分らしく生きるためのヒントとして、エビデンスに基づいた心理学を届けていきたいと考えています。
これからも続く、星空への旅
これからもSTARSCAPEは、最新の知見に基づいた質の高いサービスを誠実に、丁寧に提供していきます。
まだ私たちが発見したことのない空はたくさんあります。これからも、一つひとつの星を見つめながら、星から星へ、星座から星座へと、皆さんと共にこの旅を続けていきたいと思います。
私たちの心の空には、数え切れないほどの星が輝いています。
その星をどうつなぎ、どんな星座を描くか、それを見つける旅こそが、「自分を知る」ということなのかもしれません。
2025年10月17日
Koh Wei Quan
STARSCAPEの代表